カフェ・喫茶店のドリンクやフードをいくらで提供するか?
これに正解はありません。
薄利多売でやるお店も、高単価で少ないお客様をターゲットにしたお店も、どちらだって正解。
ただ、飲食店に不慣れな方は、そもそもの相場や平均価格が分からないことも多いでしょう。
そこで本記事では、カフェ・喫茶店の値段の決め方のお話をしていきます。
飲食店の値段の決め方 定番編
まず、1番スタンダードな値段の決め方。
これはだいたいフードの原価率を30%に設定することですね。
たとえば、原価200円かかるフードやスイーツなら、値付けは600円がスタンダード。
あとは立地や、客層、ドリンクとの兼ね合いなどで提供価格を変えていきます。
オフィス街のランチメインの店なら、回転率が高いので、原価率50%を超えるような高原価率のお店も少なくありません。
あくまで、30%は目安だと思ってください。
コーヒーやドリンクの原価率は5~20%が相場
フードやスイーツの原価率が30%前後なのに対し、ドリンクはだいたい5~20%になります。
たとえば、コーヒー1杯の原価が40円なら、400~500円ぐらいが相場になってくるでしょう。
カフェ・喫茶店はフードよりもドリンクのほうがよく出ます。
そのため、フードと合わせたトータルの原価率は20~30%に落ち着くことが多いです。
値段の決め方の相場の1つとしてご参考にしてください。
最近のカフェのコーヒーの価格と客単価
さて、相場が分かったところで、最近のカフェ事情と客単価です。
まず、最近の飲食店の値段事情を調べるときは、必ず最新のものを調べてください。
なぜなら、ここ数年、過去に例を見ないほど飲食店の値段は大きく上がっているからです。
たとえば、コーヒーの最新データがこちら。
コーヒーの価格が一番安かった 2015年1月(386円)
一番高かった 2023年9月(462円)
を比較すると、なんと76円もコーヒーの価格が値上がりしています。
人件費が上がり続けていることを考えれば、2024年にはもっと大きくなっていることでしょう。
しかも、これはチェーン店なども含んだ全国平均価格。
回転率の低い個人店だけなら、もっと上がり幅は大きくなっていることが予想されます。
少なくとも、数年前のデータや意見は全く参考になりません。
今や、コーヒー1杯は500円を超えて当たり前の時代になったのです。
個人店が参考にするのに役立つコメダ珈琲の価格
ただ、1杯500円超えが当然とはいっても、都会と田舎の500円超えでは意味が違います。
家賃の高い都会では、もっと値上げをする必要があるでしょうし、田舎と都会で同じような値段付けをするわけにもいきません。
個人的に、よく参考にしているのが「その地域のコメダ珈琲の価格」です。
実は、コメダ珈琲は全国のお店ごとに値段が違うのをご存じでしょうか?
最低460~最高700円と、実は地域によってかなりの差があるのです。
値付けで迷ったときは、ぜひお住まいの地域のコメダ珈琲の価格を参考にしてください。
ただ、注意点はコメダ珈琲と同じぐらい客数を呼べる個人店は珍しいということ。
同じ値段だと経営的に厳しいので、少し上乗せするぐらいの価格でやれるといいですね。
お釣りを考えながら値付けする
そして、個人の喫茶店で大変なのがお釣りです。
最近では、お釣りの両替も大変高価になり、小銭をあまり持ちたくないオーナーが増えてきました。
たとえば、三井住友銀行の両替手数料は以下の通りです。
両替機専用カードを使うと、たった1枚からの両替でも400円です。
コーヒー1杯の粗利が飛んでいきます。やっていられません。
昔なら480円など、あえてキリを悪くして購買意欲を誘う値付けをしていました。
一方で、最近では、500円などジャストの値付けが増えています。
また、そもそも現金決済を増やしたくないお店では、PayPayやAirペイといったキャッシュレス決済を導入している店舗もどんどん増えています。
両替手数料よりも決済手数料を払ったほうがマシ…という決断ですね。
両替手数料は今や、利益計算と同じぐらい慎重に考えるべき問題。
値付けの際には、原価なども大事ですが、多少原価率が高くなっても、10円単位のお釣りを減らすことも大切です。
値付けをするときは手間賃も考える
さて、相場と平均価格が分かったところで、もう一点考えるべきことがあります。
それは、そのメニューを作るのにかかった手間賃も価格に含めることです。
たとえば、同じ原価率30%のメニューでも、仕込みが10分ほどで終わるものと、1時間かかるものがあれば、当然後者の利幅は大きくとるべきです。
仕込みの時間が長いメニューで利益をとらないと、のちのち大変になります。
値段を決めるときは、原価率だけでなく、手間もきちんと考慮に入れましょう。
月商100万を超えられるように値付けする
さて、最後になりますが、一番重要なポイントをお話ししておきます。
それは、値付けをするときは、月商100万円を超えられるように気を付けることです。
個人経営のカフェで安定した収入を得るなら、月商100万円がポイントになります。
これは私が言っているわけではなく、いろいろなカフェ関係者の総意。
キーコーヒーでも同じように紹介されているぐらいです。
カフェの規模や固定費、仕入れや価格設定によってもことなりますが、個人で経営するカフェの場合、月100万円が大まかな売上の目安といわれています。
https://www.keycoffee.co.jp/business/kaigyo-navi/recommend/sales-of-suburban-cafe/
そのため、値付けは月商100万円を安定して超えられるように組むべきです。
月商100万円を超えるための値付けとは?
一般的な飲食店なら、3回転もすればけっこうな繁盛店。
15席のお店なら、1日40人ぐらいが来ている計算ですね。
週6日営業で毎日40人が来たとき、月商100万円を超えるには、1人あたり962円の売上が必要になります。
【計算式】
目標売上(1,000,000)÷26(営業日数)÷40(1日の来客数)
=約962円(1人当たりの客単価)
カフェのお客様にはソフトドリンクだけ頼んで、フードやスイーツを頼まないという方もいます。
つまり、コーヒー1杯500円で出すなら、フードやスイーツの単価は600円程度は欲しいところ。
または、コーヒーだけでなく、シェイクやフロートなど、1杯で700円ぐらいのドリンクメニューを増やしたいですね。
上記の計算はあくまで目安です。必要な客単価は席数や営業日数によって変わってきます。
とりあえず、26日営業、3回転ぐらいがスタンダードなので、それで一度計算してみるとよいでしょう。
もちろん、売上を上げるには集客も大事!
値段設定だけでなく、集客方法もきちんと練ってくださいね!
カフェ・喫茶店の値段の決め方 まとめ
さて、改めてカフェ・喫茶店の値段の決め方のポイントをまとめておきます。
・フードの原価率は30%、ドリンクの原価率は10%未満~20%が相場
・値段の参考にするときは、必ず最新のデータを見る
・全国的には、今やコーヒー1杯500円も当たり前の時代
・自分の地域の相場を知りたいときはコメダ珈琲を参考に
・原価率だけでなく手間賃も考えよう!
・月商100万円を達成できる値付けをしよう
以上です。
値段付けは少し計算を間違うと、大変なことになります。
感覚でパッと決めてしまう人も多いですが、ぜひじっくり考えてみてくださいね!
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