持ち物件でもない限り、ほとんどの方が必要になるテナント物件契約。
火災保険の契約や連帯保証人を探したり…と、いろいろと忙しくなるタイミングです。
ただ、初めてテナント契約をされる方は、必ずやってほしいことがあります。それが、「保健所への相談」です。
では、なぜテナント契約前に保健所へ相談するのでしょうか?
なぜテナント契約前に保健所へ相談するのか?
大きな理由としては、「そのテナントでどれぐらいの設備工事が必要になるか」を検討するためです。
たとえば、浜松市の図面が分かりやすいので引用させていただきますが、飲食店には下記の設備が必要になります。※住居部分は無視してください
このように、飲食営業許可をとるには
- カウンターで客席と仕切られている
- トイレには個別に手洗いがついている
- キッチン内には洗浄用シンクと手洗いがそれぞれある
などなど、他にもいろいろな”決まりごと”があります。
そのなかでも、水道や電源周り…いわゆるインフラ関係の設備は、施工費や改装費に大きな影響を与えます。
そのため、テナントを契約する前には保健所の担当者に「この物件で飲食営業許可をとるにはどこに手を加えればいいのか?」といったことを相談したほうがいいのです。
そのときは、必ず不動産屋からもらえるテナントの平面図を持っていきましょう。
居ぬき物件なら保健所に事前相談する必要はない?
たまに、「居ぬき物件で前の方は飲食営業許可をとっていたんだから、保健所に相談する必要はないでしょう?」と言われる方がいらっしゃいます。
※居ぬきとスケルトンの違いについては下記の記事をご覧ください
ただ、基本的に経営者が変わる場合は、仮に居ぬきでも一度保健所に確認したほうがおすすめです。
たとえば、2021年の改正食品衛生法によって、これまでは喫茶営業許可と飲食店年営業許可との2つに分かれていましたが、それ以降は飲食店営業許可のみになりました。
つまり、喫茶営業許可基準で作ったカフェ・喫茶店は今の飲食店営業許可が取得できないこともありうるのです。
さすがに、そんなケースはそう多くありませんが、あまりにも古い設備だと、現在の飲食店営業許可の基準を満たしていない可能性は十分にありえます。
居ぬき物件でも、一度は保健所に確認をしておいたほうがいいでしょう。
可能なら、デザイナーや内装業者にも図面を見てもらう
そして、理想は保健所だけでなく、デザイナーや内装業者にも図面を見てもらうことです。
もし、最初からデザイナーや内装業者に依頼することを決めているなら、絶対に物件の契約前に見せるべきです。
保健所はあくまで”営業許可をとれるか”という視点から図面を見てくれます。
ただ、デザイナーや内装業者は”店舗を作るのにどのぐらい費用がかかるか”という視点で見てくれます。
- 電気工事は必要か?必要ならどのぐらいの距離か?
- ファサード(入口)の改装はどのぐらい必要か?
- 客席は何席置けそうか?
- トイレとキッチンの水回り工事はどうなるか?
このように、保健所とは違う視点で物件の平面図を見てくれます。
素人ではわからない部分も多いので、頼れる場合は絶対に頼りましょう。
テナント契約前に保健所に相談する理由まとめ
改めて、テナント契約前に保健所に相談する理由をまとめておきます。
- 営業許可をとるのに必要な費用を知るために、保健所に相談する
- 居ぬきでも事前相談はしたほうがいい
- 施工業者やデザイナーなど頼れる人がいるなら、契約前に相談する
以上です。
テナントは立地や雰囲気だけで契約してしまう方がいらっしゃいます。
でも、衛生のプロ、店舗のプロから見ると、開業には難しいテナント物件であることも少なくありません。
一度テナントを契約してしまうと、物件を変えるのは難しくなりますので、契約前にできるだけたくさんの方に相談しておくべきです。
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